取材記事

【2日目】市民の協力でバリア情報を収集!「歩行空間ネットワークデータ」川崎市実証レポート

【2日目】市民の協力でバリア情報を収集!「歩行空間ネットワークデータ」川崎市実証レポート

国土交通省が普及推進する、歩行空間におけるバリア&バリアフリー情報を全国的に収集し、オープンデータ化した「歩行空間ネットワークデータ」

今回、そのデータの持続的な更新を容易にするシステム構築に向けた実証が、2023年12月4日(月)~5日(火)の2日にかけて川崎市内で行われました。本稿では実証2日目の様子をお伝えします。

※「歩行空間ネットワークデータ」の概要や実証の詳細については1日目のレポート記事でご確認ください。
【1日目】市民の協力でバリア情報を収集!「歩行空間ネットワークデータ」川崎市実証レポート


2日目は川崎市職員に加えて、車いす利用者とその介助者、歩行に杖を必要とされる方、子育て支援団体職員などの市民が参加しました。

実証のレクチャーの様子

本実証は、歩行空間ネットワークデータの更新作業にかかる負担軽減と、データの持続的な更新という課題に対し、市民から提供された情報を活用することで、データの更新が必要な個所を効率的に把握できるのではないかと考えて企画されたもの。

今回は、川崎市内の歩行空間ネットワークデータが整備されたエリアを移動しながら、車いすやベビーカーなどでの通行が困難な段差や傾斜といったバリアの発見と、そのバリアの位置や写真の投稿を市民が担当。投稿内容の精査と、「歩行空間ネットワークデータ整備システム」を用いたデータの更新を川崎市職員が担当し、それぞれの作業の改善点や課題を探りました。

1日目と同様、まずは川崎市役所の会議室にて、本実証の趣旨や作業の進め方をレクチャーした後、市職員・市民・サポート役で1つのチームを組み、3班に分かれて川崎市内の指定された経路を移動しました。

車いす利用者やベビーカー利用者にとってどんなどのような場所がバリアになるのか、さまざまな知見も得ながらの実証となりました。
段差を確認する様子

「この程度の段差なら車いすでも大丈夫」「介助者がいれば進めるけど、単独だと少しきついかもしれない」と一つひとつ判断しながらバリアの位置・詳細な状況を調査票に記し、撮影を行う市民たち。

その様子を見ながら市職員がコンベックス(測定機器)や傾斜計を用いて該当箇所の状態を確認し、すでに登録されている歩行空間ネットワークデータと照らし合わせ、必要に応じてそのデータをタブレットで更新していきました。

幅員を確認する様子
調査票をもとに市職員がデータを更新していきます。

実証中、市民側からも市職員側からも、「投稿した内容の意図がきちんと伝わるか」という意見が多く挙げられました。

たとえば、投稿する写真は発見したバリア箇所の近景・遠景の2種類を想定していましたが、具体的にどの程度の距離からどの部分を撮影するべきか悩む様子を見せる市民がいました。同行していた市職員からも「撮影の様子を見ていたから今回はバリア箇所がわかったが、バリア箇所の判別が難しい写真が投稿される可能性がある」との意見が出ました。

石畳の材質、ランダムな配置が歩きづらいとの意見。

また、杖を使って歩行していた市民から聞かれたのは、とある石畳の歩道の材質や配置が杖を突きづらく、歩きにくいという声。今回の実証で使用した調査票では、バリア状況の記載欄が自由記述式になっており、「 “歩きにくい”という文章しか記入されていなかった場合、市職員側ではそれが何に由来する歩きにくさなのかがわからない」と調査票の改善を求める指摘がありました。

市民が悩むポイントを極力排除し、自由記述式ではなく項目選択式を増やすなど、投稿にかかる不確実性をなくしていくことが効率化への鍵となりそうです。

その後、再び会議室へ戻り、班ごとにバリア情報の投稿方法やシステムの機能性・操作性の改善点などについて発表を行い、2日間にわたる実証は終了しました。

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